「更年期」というのは、医学的には「生殖期から生殖不能期への移行期」と定義され、閉経前後5年くらいのことを言います。日本の女性では90%が56歳までに閉経を迎えますが、残りの10%の女性は56歳以降も月経があるようです。その一方で10%の女性は45歳までに閉経を迎えるようです。
さて、更年期には検査をしてもその症状の原因となる明らかな病気が見られずに原因をつきとめられない様々な自覚症状が起きます。「更年期障害」と呼ばれる物です。痛みや疲れなどといった他人には分かりづらい症状が主体で、その内容も様々です。
更年期障害は卵巣の機能低下が主な原因ですが、それに加えて性格や環境、更には加齢による様々な機能の変化が関連しています。更年期にある女性の実に40%が日常生活に支障を感じる程度の更年期障害を自覚しています。むくみも更年期障害の症状の一つです。
更年期にある女性は自律神経のアンバランス、加齢、運動不足などにより足にむくみが起こりやすいと言えますが、多くは手がこわばる、冷えるなどと同時に訴えられる感覚的な症状と考えられますので、更年期障害の治療がむくみへの治療になると思われます。
更年期障害の症状は非常に多く、本人の自覚症状が主体なので治療は患者さんの症状に応じて行われます。更年期障害の症状のうち、急なほてり感を中心とした血管運動神経症状にはエストロゲン製剤を用いたホルモン補充療法が有効です。
しかし、このホルモン補充療法は、イライラや意欲の低下などの精神神経症状には必ずしも有効ではない為、精神神経症状の強い場合には抗不安薬や睡眠導入剤などを用いる場合もあります。また、漢方薬の併用も有効な場合がありますし、カルシウムやビタミンB2が不足している場合もありますので、バランスの良い食事を心がけることも大切です。
また、ホルモンバランスの乱れに効果を期待できるものとしてマカがあげられます。
マカはホルモンバランスを整えるほかに、美容に欠かせない必須アミノ酸も豊富に含まれている為、多くの女性に愛用されています。本格的な治療の前にバランスの良い食事と共に試してみるのも良いでしょう。
また、治療を行う際は自己判断で行わず、婦人科, 内分泌代謝科など更年期障害の専門医への受診をお勧めします。
更年期障害の症状
自律神経症状 | 血管運動神経症状 | 急な熱感(のぼせ),発汗,寒気,冷え,動悸 |
胸部症状 | 胸痛,胸部圧迫感,息苦しさ | |
全身的症状 | 疲労感,頭痛・頭重感,肩こり,めまい,睡眠障害 | |
精神症状 | 情緒不安定 | イライラ,怒りっぽい |
抑うつ気分 | 涙もろい,意欲低下 | |
その他症状
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運動器の症状 | 腰痛,関節・筋肉痛,手のこわばり・むくみ,しびれ |
皮膚・粘膜の症状 |
乾燥,湿疹,かゆみ,蟻走感 |
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泌尿生殖器の症状 | 排尿障害,頻尿,性行障害,外陰部違和感 | |
消化器症状 | 嘔気,食欲不振,腹痛.便秘 |