インターネットで検索すると顔のむくみと美容の関連で驚くほど多くのアイテムがヒットします。足のむくみ以上に顔のむくみを気にする人も多いと聞きます。特に、人と接することが多い仕事をしている人は、相手に与える印象が重要である為、腫れぼったい目や顔のむくみを気にするのは当然と言えます。
しかし、医学的には顔のむくみの診断は容易ではありません。顔には個人差がある上、日本人には上まぶたが腫れぼったいという特徴をもった人が少なくないからです。
うつ伏せに寝ていると頭が下になっていますから顔がむくみやすくなります。ですが、立ち上がってしばらく経つとむくみは消えてしまいます。手でも似たようなことが言えます。朝はむくみやすくても、動き始めると腕は上に上って動かすのでむくみは足の方へ落ちていきます。
美容業界では顔のむくみにリンパマッサージ(リンパドレナージ)が有効だとされています。リンパの流れはあくまで静脈の補助的な役割にすぎませんが、逆に考えるとわずかなむくみなら軽くさすったりすることで楽にするお手伝い程度にはなるかもしれません。しかし、特別なリンパマッサージをしなくても、顔の筋肉などが動くことでリンパ管や静脈も活発に動くので、むくみは自然と軽減していきます。つまり、朝起きてから喋ったり笑ったりとしているうちにむくみは消えていくのです。
実際のむくみとは違い、顔が「むくみっぽい」といった感覚的なことを訴える人もいますが、これは実際のむくみとは関係なく、リンパの流れでこの感覚を解消しようとしてもできません。
アルコールを飲んだ翌朝に顔のむくみを経験した人も多いでしょう。飲酒時にはおつまみなどの塩分摂取と、アルコールによる利尿効果により、喉が渇き水分の過剰摂取状態となります。そしてその後に眠ると睡眠中に「抗利尿ホルモン」が自然と増え体内に水が溜まってしまいます。
この「抗利尿ホルモン」のおかげで就寝中にあまりトイレに行かないで済むのですが、顔を中心とした全身のむくみが生じます。起床後に抗利尿ホルモンの分泌が減少し、尿の量が増加してくると顔のむくみはやがて解消します。
もしいつもと違って顔のむくみがいつまでも消えない場合は、病的なものと考えて専門医の診療を受けた方がよいでしょう。代表的な疾患には、甲状腺機能低下症、腎性や心性の浮腫、血管神経性浮腫があります。